2023.4.27
法務省および警察庁へ
提出した要請書
2021年 国会請願署名の説明
私たちの要求です 2020.12月
1、犯罪被害者が求める「補償(制度)」は『自動車損害賠償・政府事業』と同等の制度です。
政府事業というのは「ひき逃げ」「無保険車」の人身事故に国が補償するものです。
この制度では、死亡3千万円、重度障害4千万円程度が補償されます。この補償で十分だとは思いません
が、昭和31年から実施され、わが国では「社会的な合意を得た制度」となっていると考えます。
犯罪被害者にも適用して頂きたいと思います。
2、現行「犯罪被害者等給付金」は犯罪被害者等基本法制定時の約束に届かず、賠償の名に値しません。
①2005年の犯罪被害者等基本法制定の時に、犯罪被害者の補償を「自賠責並み」にするとの口約束がされた
が、自賠責相当の3千万円の給付が計算上実現するのは、男性労働者で年齢50歳、扶養家族4人程度の場合
です。
②自賠責・政府事業の場合は、被害者の学歴等・稼働能力による生涯賃金の計算で保障されます。
(民事裁判の賠償額算定方式も同じ)しかし、犯給法の給付金は労災方式に拠るので、実際に労働に従事し
ていないものは見舞金程度の支給です。大学生の場合3百万から5百万程度。
3、犯罪被害者等給付金は、金額は低額、適用数はわずかで、被害者の生活を保障するものになっていません。
①犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法36号が制定されていま
すが、同じ55年「国家公安委員会規則6号」が作られ様々な「不支給、減額」の規定があり、(地方公安
委員会)警察官の「判断」で不支給か3分の1~2に減額されます。
②国家公安委員会規則6号は、犯罪被害者支援とは矛盾したものであり、廃止すべきです。
③「給付金」の支給が「申請主義」になっていて、その申請は主に「警察官」を通じてする。事件直後の被
害者の置かれた状況の中で、捜査に当たった警察官に被害者自身(遺族)が申請することには無理があ
り、多くの申請漏れがあると考えられます。2019年度の申請は被害件数のわずか2%程度です。
④給付金の支払いは、半年以上もかかり、ローンの返済、葬儀費用、当座の生活資金に間に合わない。
⑤諸外国では、公務員か公的機関の専門職員が、被害者に寄り添って各種のサポートをしています。
我が国でも犯罪被害者等基本法で、被害者支援をうたっているのですから、諸外国並みの、それにふさわ
しい支援をしていただきたいものです。
4、損害賠償の国による立替払いと、加害者への求償制度を設けていただきたい。
①2000年12月に「損害賠償命令制度」ができ、印紙代不要、2000円で判決が出ます。しかし判決が出
るだけ、加害者の賠償能力の有無や、財産のある場所を調べ、差し押さえ・競売手続きをして現金化する
のもすべて被害者です。弁護士費用や予納金が莫大で、手続きが長くかかり、被害者は疲れ果てます。努
力しても、よくて判決の何分の1かの金額が回収されるだけです。
②「損害賠償命令」と言うからには、被害者に代わって、国がこの賠償金を回収する部署を作って加害者に
直接命令していただきたい。
③基本法にも、安全で安心して暮らせる社会の実現を図る責任は国にもあると定めてあります。
被害者に安心できる生活を保障するために国として賠償金を回収する援助をするべきです。
④国は、例えば「被害者死亡の場合」であれば「給付金額」である3千万円の「仮払い」で債権を買い取
り、この回収に努め、3千万円以上の補償(仮払いした「給付金額」)で被害者はあきらめることになり
ますが、現在より改善されます。
5、外国並みに被害者支援の専門組織を作って頂きたい。
①いま、犯罪被害者給付金の事務をしているのは、警察庁給与厚生課で、ここは警察官の給料計算をする場
違いの部署です。
②2015年の自民党の「政務調査会の提言」でも専門部署を作るようにと言われています。
③日本弁護士連合会も「犯罪被害者庁」と言うものを作ることを提言しています。
6、地方公共団体(市町)が、自分の街に住む住民を大切に考えて支援に力を入れていただきたい。
①犯罪被害者支援条例を作っているのは、全国1千7百余の自治体の3分の1です。
②条例のない自治体は見舞金(死亡30万円・傷害10万円)も出ません。
以上
2020.12