2025年3月26日 福岡県小竹町息子殺害事件にかかる被害者給付金
不支給取り消し福岡地裁判決についての当会の声明文
令和7年4月3日
一般社団法人 犯罪被害者補償を求める会
1 2025(令和7)年3月26日、福岡地方裁判所第1民事部(林史高裁判長)は、2019(平成31)年3月に福岡県小竹町で起きた親が子を殺害した事件で福岡県公安委員会が被害者の内妻(原告)に対し、加害者と被害者とが親子関係にあったことを理由に犯罪被害者給付金を不支給と裁定したこと対し行政処分の取消を求めた裁判において、福岡県公安委員会の裁定を違法として裁定の取り消しを命じる原告勝訴の判決を言い渡しました。
2 同判決は冒頭に「犯罪被害者等給付金の支給制度は、犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族等の精神的、経済的打撃を早期に軽減するなどし、もって犯罪被害等を受けた者の権利利益の保護が図られる社会の実現に寄与することを目的」として「犯給法及び犯給法施行規則の解釈に当たっては、同制度の上記目的を十分に踏まえる必要があるものというべき」と判断した同性パートナーも給付金を受給できる対象とした最高裁判決(最高裁令和4年(行ツ)第318号、同年(行ヒ)第360号同6年3月26日判決)を挙げて犯給法の精神を重視し「本件犯罪被害者と本件加害者との間の親族関係は、親族関係の実体が失われており、その回復の見込みがあったともいい難いのであるから、当該親族関係が事実上破綻しているものと同視することができ、また、本件犯罪被害者の遺族である原告が受けた精神的、経済的打撃の軽減等を図る必要性が高いことを否定すべき事情もうかがわれないから、原告に対し、当該親族関係があることを理由とする犯罪被害者等給付金の支給を制限しないことが相当である」と極めて社会通念に沿った判断をしました。
そして最後に「犯罪被害者等給付金(遺族給付金)を支給しない旨の裁定をした福岡県公安員会の判断は、考慮すべき事項を十分に考慮していない一方で、考慮された事実に対する評価が明白に合理性を欠いた結果、社会通念に照らして著しく妥当性を欠いていたものというべきである。」というものと述べ、福岡県公安委員会の事実認定・評価の誤りを明確に判断しています。
3 私たち犯罪被害者補償を求める会は、この判決を高く評価するものです。
全国的にも親族間の刑事事件の場合、原則として不支給や減額などの措置が講じられています。そして、認定に使用した証拠は明らかにされず、審査基準の曖昧さ、手続きの不透明さが指摘されるとともに、多くの被害者、支援者から親族間の実態に照らして現実的な観点から判断すべきだとの声が上がっていました。今回の判決は「親族関係があることを理由とする犯罪被害者等給付金の支給を制限しないことが相当であるか否かという観点から客観的に判断するのが相当」としており、まさしく被害者らの声と合致するものと言えます。
4 原告は、事件の後遺症として様々な治療と精神的なカウンセルを受診しなければならない窮地に追い込まれてきました。犯罪被害者基本法の第3条基本理念では「犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする。」とあります。私たちは、法の趣旨に基づき、本訴被告である福岡県と福岡県公安委員会に対し、控訴することなく、6年に及び苦しんできた原告に一刻も早く犯給金の支給を求めます。
そして、本判決が捜査機関のひとつである公安員会の事実認定等の不当性を明らかにしていることからも、適正な事実認定のため犯罪被害者に対し専門的に手続きをする犯罪被害者庁の創設を求めるものです。
2024年12月17日 クリニック放火事件から3年
署名行動をおこないました



大阪・西梅田はたらくひとのこころとからだのクリニックでリワークプログラムを受けていた人たちやスタッフを含む26人が放火により命を奪われてから3年目の日。
犯罪被害者等給付金の一定の改正があっても減額・不支給規定があることや算定基準が収入であり「命の価値」を生産性で測る問題、また、犯罪被害者をめぐる課題として支払われていない損害賠償の国による立て替え払いの問題や放置されづつえけてきている過去の被害者への救済措置を求めて街頭署名をおこないました。
いろんな方のご協力をいただき、また、取材もしていただきました。ありがとうございます。



2024年5月18日 2024年度の総会を開催しました
尼崎市立女性センタートレピエにて総会を開催しました。2021年以降の会の活動の中で得た成果を確認、現在、昨年の閣議決定に基づいて犯罪被害者等給付金を引き上げ、改善の作業を進めており、全体像が明らかになった段階で会としての方針にそって検討し、引き続きの活動を承認していただきました。記念講演として京都産業大学法学部・新 恵理先生に特にアメリカの犯罪被害者支援についてお話いただき、わたしたちがどんな社会で生きていきたいのかを考えあう機会となりました。

2024年2月21日 衆議院会館にて国会議員むけ説明会を開催しました
衆議院議員会館において当会主催で犯罪被害者の実態や要望を議員の皆様に知っていただきたいと開催いたしました。
20名の議員の皆様、代理者の皆様がご出席くださり、当会からは6名の被害者が事件から現在まで続く生活の苦難の実態や切実な要求に ついて報告、日弁連の斎藤実先生の講演を短時間ではありますが実施。法務省から1名、警察庁から2名の担当者も参加していただきました。
