2024 各党への公開質問状【回答】
本公開質問状は、去る8月31日に警察庁に対し提出した、本年6月の犯罪被害者等給付金其の他の見直しをうけて以降の、当会の基本的な要請内容をそのまま送らせていただきました。
貴党においては、6月の見直しについてご承知と存じますので、このような簡略なものといたしましたが、なにとぞ誠意あるご回答を頂きたくお願い申し上げます。
2024年10月 8日 送付
10月24日 公開
一般社団法人犯罪被害補償を求める会
理事長 藤本 護
当会の要請内容
第4次犯罪被害者等基本計画の見直しに当って
犯罪被害補償を求める会としての要請
一般社団法人 犯罪被害補償を求める会
1、犯罪被害者等給付金について
2024年の犯罪被害者等給付金の改正によって、我が会が強く要請してきた「見舞金」でなく自賠責同等の生存保障に向けたものへの一歩の前進と喜び、関係各位のご努力に感謝します。
イ、しかしながら、次のような問題が残っていることについて更に改善を求めます。
①親が無く兄弟姉妹が助け合って生活していた場合の補償は不十分。
(説明)・兄弟姉妹で生活していて、兄弟が被害に遭った場合、経済的に困るにもかかわらず、4200円が加算されない。形式的でなく、生活実態に合った加算が必要。
・中学の先輩から後輩が、高校になってから暴行を受けたところ、中学時代から知っていたという理由で1/3減額された事実がある。このような減額規定は不当。
②労災方式を踏襲しているため、逸失利益の考えがありません。自賠責と同じ生涯賃金方式にして下さい
ロ、遡及適用
今回の給付金引き上げは、犯罪被害者等基本法制定後、給付金引き上げが不十分であることを多くの被害者が訴え続け、国もそれを認めたことによって実現したものと考えます。基本法が言葉だけで内実が伴っていなかったことを国も認めた結果であり、基本法制定後、空しい制度に苦しい思いをした被害者に対し、遡って適用を求めます。
ハ、今回の改正では、給付金支給法(昭和55年法律第36号)の第6条に関連する、昭和55年国家公安委員会規則第6号第2条乃至第10条は全く変更されませんでした。
今回の改正によって、給付金が今まで国が言っていた「お見舞金」から、生存保障に質的変化をする過程であることに鑑み、これらの条項を全面的に見直していただきたい。
・親族関係不支給に関しては、これ まで累次の検討会議等での到達点を踏まえて改正して頂きたい。
・三分の二、三分の一の減額規定は、自賠責での被害者の過失減額に比しても、著しく高率であり、基本法の理念にそむくものであると考えますので、自賠責程度の減額に改めていただきたい。
ニ、現在の給付金査定のあり方は、法執行の厳密性を損ねていると考えます。司法関係者、民間有識者、公安委員会の三者構成の委員会で行うよう改めてください。
2、損害賠償命令制度による賠償債権を国が立替払いし加害者に求償する制度の創設を
犯罪被害者に対する被害補償の第一義的責任は加害者であるとしても、凶悪犯罪に対する損害賠償は加害者から殆ど行われていないからこそ、国も給付金の引き上げを行っているのであり、被害者が再び平穏な生活を取り戻すためには国の立替制度によらなければなりません。
そのために、国は被害者への経済的支援を格段に強めるため、権力を善用して、加害者の逃げ得を許さない策を講じていただきたい。
3、犯罪被害者に特化した支援組織の設立(仮称:犯罪被害者庁)による被害者支援の強化
欧州・北欧・アメリカ・豪州など多くの国では、事件発生直後に、警察の捜査とは別に犯罪被害者は支援組織でのサポートを受ける制度が確立しています。わが国では、被害者が死亡し、あるいは重い怪我を負って支援が一番求められている時に、警察が捜査を優先して行い、家族等はこの対応に追い回され、最悪の場合は被疑者の扱いを受けます。
警察は、犯罪捜査の専門組織です。事件の現場に来るのは捜査員であり、捜査と被害者支援をあわせて行うことには無理があります。
加害者が逮捕され起訴されても公判前整理等に長期間を要して、被害者には情報も十分提供されません。
給付金の支給もなく、損害賠償請求もできず、長期間にわたって放置同然とされ、被害者は疲弊してしまうのが実態です。
現状では、刑事・司法において被害者の人権が損なわれています。
犯罪発生から加害者の断罪、賠償、被害者の立ち直りまでの全過程を見直さなければなりません。
その第一歩が、犯罪被害者支援に特化した公的組織、仮称・犯罪被害者庁の設立です。
現在、犯罪被害者等基本法に基づく基本計画が四次にわたって策定されていますが、すべて各省庁が縦割り組織で協議してそれぞれに施策を実施しているのであって、被害者の立場で責任を持って基本計画を運用遂行する省庁はありません。
被害者支援を責任を持って行う仮称・犯罪被害者庁があってこその犯罪被害者等基本法であることを銘記していただきたい。
4、其の他
犯罪被害者が損害賠償命令制度で得た債権の十年経過による消滅時効を、犯罪被害損害賠償に限ってなくするよう法律の改正を行うか、再提訴時の印紙代と弁護士費用を国が負担する制度に変えていただきたい。
以上
各党からのご回答
自由民主党
犯罪被害補償を求める会 代表理事 藤本 護 様
この度は自民党へ貴重なご意見をお寄せいただき誠にありがとうございます。
お寄せいただきましたご意見・ご質問については、全て拝見させていただいた上、担当部局へ報告し、
党の今後の政策や活動の参考とさせていただきます。
今後とも自民党の活動にご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。
自由民主党本部
千代田区永田町1-11-23
TEL. 03-3581-6211(代表)
立憲民主党
(「第4次犯罪被害者等基本計画の見直しに当って」の各項目の後に、下記の文書が書き加えられています。)
第4次犯罪被害者等基本計画の見直しに当って犯罪被害補償を求める会としての要請に対するご回答
1、犯罪被害者等給付金について
(ご回答) 誰でも犯罪の被害にあう可能性があり、犯罪被害者等の個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保証される権利が実現されなければなりません。立憲民主党は、当事者のみなさまのご意見も伺いながら、犯罪被害者給付金制度の拡充へ向け取り組みます。
2、損害賠償命令制度による賠償債権を国が立替払いし加害者に求償する制度の創設
(ご回答) 党として具体的に議論はしておりませんが、国による立替払い制度の創設など、加害者の逃げ得を許さないための施策を求めるみなさまのご要請のご趣旨を踏まえ、今後とも活動をしてまいります。
3、犯罪被害者に特化した支援組織の設立
(ご回答) 今年の通常国会では、犯罪被害者等支援弁護士制度を創設するため、改正総合法律支援法を制定しました。ご要請の支援組織について党として具体的に議論はしておりませんが、引き続き、被害者支援の強化に向け、取り組みを進めてまいります。
4、其の他
犯罪被害者が損害賠償命令制度で得た債権消滅時効撤廃か再提訴時の印紙代と弁護士費用を国が負担する制度に
(ご回答) その他のご要請につきましても、党として具体的に議論はしておりませんが、これまで以上に皆さまのご意見を踏まえ、一緒に対策、制度づくりを行なってまいります。
公明党
一般社団法人犯罪被害補償を求める会様の公開質問状に対する回答
犯罪被害者の方々が再び平穏な日常を取り戻せるよう、まずは、給付水準の大幅引き上げや運用改善など抜本強化された「犯罪被害給付制度」の着実な運用を図るとともに、総合法律支援法の改正により創設された「犯罪被害者等支援弁護士制度」の早期運用に向けた体制整備等を行います。
また、国家公安委員会で犯罪被害者等施策の企画・立案や総合調整を行うことや、警察庁に犯罪被害者等施策推進課を置くなど犯罪被害者等施策の推進に関して、国の司令塔機能が強化されたこと等を踏まえ、上記の取り組みのほかに、引き続き、第4次犯罪被害者等基本計画等に基づき、地方における途切れない支援の提供体制の強化に向けた各種の取組
みなど犯罪被害者等施策を着実に実行します。
あわせて、犯罪被害給付制度の更なる改善など様々ご要請頂きました点も踏まえて、犯罪被害者等の関連施策をより一層充実したものとすべく、同基本計画の見直しに向けた課題等を整理し、犯罪被害者支援策の更なる強化に取り組んで参ります。
2024年10月16日
公明党
国民民主党
(「第4次犯罪被害者等基本計画の見直しに当って」の全文の後に、下記の文書が書き加えられています。)
賜りました貴重なご意見は党内に共有させていただきます。ありがとうございました。
国民民主党としての犯罪被害者の皆様に向けた支援策を紹介させていただきます。
〇日本版独立性的暴力専門家(ISVA)の導入により、ワンストップで被害者を支える体制を構築します。
〇加害当時者の資力がない場合の犯罪被害者給付制度の充実は極めて重要と考えております。
頂いたご意見も踏まえ、より良い制度となるよう取り組みます。
2024年10月12日
日本共産党
犯罪被害補償を求める会への回答
(「第4次犯罪被害者等基本計画の見直しに当って」の各項目の後に、下記の文書が書き加えられています。)
日本共産党
第4次犯罪被害者等基本計画の見直しに当って
1、犯罪被害者等給付金について
①について
【回答】趣旨に賛同します。説明のような不当な理由で減額されるのは犯罪被害者等給付金の理念にも反するものです。
②について
【回答】趣旨に賛同します。これを放置したのでは、自賠責との差や、犯罪被害者や御遺族が救われません。
ロ、遡及適用について
【回答】過去の犯罪により現在も後遺症が残っている人も居ます。国は現実を直視し、遡及適用も含めて検討すべきです。
ハ、減額規定
【回答】民事訴訟における損害賠償額を見据えるのであれば、司法判断により定められた債務名義を尊重すべきであり、政策的な事情により安易に全部または一部を不支給とすべきではないと考えます。
ニ、現在の給付金査定のあり方
【回答】現在の給付金査定のあり方の中には、確定判決文では暴力があったと認定されながら、公安委員会の裁定で暴力がなかったとされ、不支給とされた例もあるなど、公正な裁定とは言えない実態があり、改める必要があると考えます。
2、損害賠償命令制度による賠償債権を国が立替払いし加害者に求償する制度の創設
【回答】迅速で確実に損害賠償を受けられるよう、国による損害賠償の立て替え払い制度と加害者への求償制度が必要です。
3、犯罪被害者に特化した支援組織の設立
【回答】被害者支援にかかる施策を専従して取り扱う官庁を創設し、犯罪被害者への補償を充実させたり、犯罪被害政策のための基金を作ったり、犯罪被害者や広く一般市民に向けて情報を提供するということは、その実現に向けて具体的な検討を行うに値することであると考えます。その際は、犯罪捜査の専門組織である警察とは別組織である必要があります。
4、其の他
犯罪被害者が損害賠償命令制度で得た債権消滅時効撤廃か再提訴時の印紙代と弁護士費用を国が負担する制度に
【回答】犯罪被害者等の権利利益を守るためには、弁護士による法的支援が極めて重要です。犯罪被害者等が弁護士による十分な支援を受けられるよう、弁護士費用の公的な援助を拡充します。
以上
【会からの質問】
「犯罪被害者に対する基本政策もお送りいただければ幸いです」
【回答】
2024総選挙 分野別政策 77、司法・警察 で、以下のように政策を発表しています。
犯罪被害者の権利を保障します
日本共産党は、1975年7月、「犯罪被害者補償法案大綱」を発表し、犯罪者に賠償能力がないとか、犯罪者不明などから、被害者やその家族に損害賠償がされず、精神的に深刻な苦痛をうけたうえに生活上も悲惨な状態においこまれている現状にたいし、国の救済措置として、国家補償の制度を提案しました。また、犯罪被害者基本法を早急に制定し、国の施策として、被害者は尊厳をもってあつかわれるべきであり、すみやかな被害回復の権利を有することを宣言し、被害者に刑事事件の加害者や事件の内容、刑事手続きや判決内容などの情報について可能なかぎり提供をうけることをはじめ、各種の権利の保障を明確にすることを求めてきました。
2004年に全会一致で犯罪被害者等基本法が制定され、政府が犯罪被害者等のための施策の総合的かつ計画的な推進をはかるという段階にすすんでいますが、犯罪被害者や遺族への経済的支援が不十分です。日弁連のアンケートによると、犯罪被害者等への損害賠償命令が確定しても実行されている割合は低く、殺人事件で3.2%に過ぎません。被害者や遺族が立ち直り、平穏な生活を取り戻すまでの経済支援を目的として「犯罪被害給付制度」による遺族給付金の実績は平均707万円です(2023年度)。犯罪被害者の団体も、迅速で確実に損害賠償を受けられるよう実効性のある措置、国による損害賠償の立て替え払い制度などを求めており、法務大臣も「不断の見直しは必要」と述べています。 日本共産党は、犯罪被害者の個人の尊厳、幸福追求の権利を保障するため、犯罪被害者にたいする国家補償や精神的なケアの充実などのために奮闘します。
社会民主党
犯罪被害補償を求める会公開質問状への回答
政党名:社会民主党
記入者:政策審議会 松本 貴裕
質問1 要請に対する党の意見
犯罪被害当事者からの要請に関しまして、現行制度の不備により苦しんでいる被害者からの切実な訴えであり、党として重く受け止めます。犯罪被害者が平穏な生活を取り戻せるよう、生活保障を前提とした給付金制度となるよう見直しを進めていくべきだと考えます。また、国による損害賠償の立替払いと加害者への求償制度を創設することが必要だと考えます。
質問2 党の犯罪被害に関する基本政策について
犯罪被害者の救済制度を充実・強化していきます。警察による相談機能の強化をはかります。
日本維新の会
拝啓
この度は、「第4次犯騨被害者等基本計画の見直しに当って犯罪被書繍償を激める会としての要請」文をお送りいただき、誠にありがとうございます。
わが党は犯罪敏審者への補償を重要政治課題の一つとして位置付けており、選挙公約である「維新八策2024個別政策集」に「二次被害の防止、求償権付の賠償金の一部立て賛えなど、犯羅に苦しむ被害者への支援の強化を推進します。同時に、触法障がい者を含む触法者が社会復帰をする更生支援に取り組みます」を掲げています。
ご要請の中の各ご提案については今後、党内で十分な検討を行い、ご要望を一歩でも
二歩でも実現に近づけるため努力していきたいと思います。
ご提案の「1.犯罪被害者等給付金について」は、給付対象者の適切な拡大と給付方法の改善は検討すべき課題だと認識しています。
「2.損書賠償命令制度による賠償債権を国が立替払いし加書者に求償する綱度の創設を」については、ほとんどの加害者には支払い能力がなく、事実上、賠償が履行されていない現状を鑑み、国による立て替え払いの制度をつくる.ことは急務だと考えています。
「3.犯罪被害者に特化した支援組織の設立(仮称:犯罪被害者庁)による被書者支援の強化」については、現時点では必ずしも新しい官庁の設立が必要であるとの認識には至っていませんが、「被害者支援の強化」という主旨には強く賛同するものであり、ふさわしい支援の在り方の検討を深めていきたいと思います。
「4,其の他」のご要望については、関係機関に伝えます。
また、被書者の個別事情に的確に対応するためには地方行政の役割が重要です。大阪府において平成31年に犯罪披害者等支援条例を策定.し、大阪府内市町村においても順次、同趣旨の条例の成立を進めているところです。きめ細やかな具体的対応における課題を元に実効性ある議論を進めてまいります。
以上、簡単ではございますが、日本維新の会からの回答とさせていただきます。敬具
令和6年10月18日
日本維新の会 政務調査会
ご回答をいただきましたものは以上です。
各党の皆様、ありがとうございました。